朝鮮語とは

 


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 言語の名称,使用地域,文字

 

 

 

  朝鮮語という名称

言語の名称として,韓国では「한국말」や「한국어」と呼ぶのが一般的.どちらも「韓国語」という意味.北朝鮮では「조선말」や「조선어」と言うのが一般的.これはどちらも「朝鮮語」という意味である.また,これらの名称以外に南北を問わず「우리말」(我々のことば)や「국어」(国語)と言うこともある.北朝鮮ではどうだか知らないが,韓国では「우리말」という言葉の使用頻度は結構高い.これは有名な話であるが,日本でたまに「ハングル語」と言われることがあるが,これは少し下の「文字」の部分で述べるように文字の名称であり,言語名ではない.このサイトで「朝鮮語」と 言っているのは,地域的には韓国と北朝鮮及びその他の地域,時代的には有史以来現在までを含めた言語の総称として用いているもの である.特に韓国で「조선어」(朝鮮語)と言うと北朝鮮の言葉というニュアンスがあり ,しばしば非難を受け,しまいには怒り出す人もごくたまにいるが,決してそのような意味で使用している わけではないのでご注意ください.日本では学術的な名称として一般的に「朝鮮語」という名称が用いられている.日本の大学で開設されている授業名では「朝鮮語」,「韓国語」,「韓国・朝鮮語」,「コリア語」をはじめとして様々な名称が用いられているようである.

 ★ 使用地域と使用人口

朝鮮語は,大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国からなる朝鮮半島で主に用いられている.韓国では約4500万人,北朝鮮には約2200万人の話者がいると見られている.朝鮮半島では人口のほぼ100%が朝鮮語母語話者である.それ以外の地域では,中華人民共和国の延辺朝鮮族自治州,旧ソビエト連邦内のサハリンや沿海州,ウズベキスタンやカザフスタンなど中央アジアでも用いられている.さらに,日本の在日韓国人・朝鮮人や,在米・在カナダの韓国人の間でも用いられている.しかし,韓国,北朝鮮以外の地域では朝鮮語を母語としない人の割合が非常に高いと言える.話者の総人口は7000万人から8000万人の間になるとみられる.話者人口から見ると,世界の言語のうち,12位くらいであり,その数はフランス語の話者とほぼ等しい.

  文字

朝鮮の民族文字は韓国では한글[ハングル]と呼ばれており,「大いなる文字」あるいは「韓の文字」という意味だと言われている.この名称は北朝鮮ではそれほど一般的でなく,正式には「우리글」[我々の文字]や「우리글자」と呼んでいる.日本では「ハングル」または「ハングル文字」という名称が一般的に用いられている.
朝鮮では15世紀まで朝鮮語を記録する固有の文字を持たず,李朝第4代世宗の時代(1443年)に当時の学者たちが集賢殿という所に集まってハングルを創製し,『訓民正音』という名前で1446年に公布した.文字の製作者や年代が明らかで,使用説明書まであるというのは世界の文字の中でも非常に珍しい存在であると言える.それ以前は吏読(りとう)(や口訣(こうけつ),郷札(きょうさつ))と呼ばれる漢字を利用した借字表記が行われていたが,この文字の創製によってはじめて朝鮮語を細部まで表現できるようになった.創製当時から19世紀の後半まで,ハングルは「訓民正音(훈민정음)」や「諺文(언문)」と呼ばれ,日本でも「諺文(おんもん)」という名称が用いられていたが,現在はあまり使用しない.ハングルという名称は19世紀末から20世紀初頭に活躍した国語学者周時経(1876-1914)によって考案されたとされているが,詳細は明らかではない.
子音の字母は発音器官をかたどり,母音の字母は天(・),地(),人()をかたどって作られたと言われる.基本的にはアルファベッのように,1つの字母が1つの音をあらわすのが原則である.その字母を初声+中声(+終声)と組み合わせて1文字を構成している.そして,この1文字が1音節をあらわすという仕組みになっている.つまりハングルは表音文字と音節文字の正確を併せ持った文字と言うことができる.,理知的・抽象的な概念語彙が多いのが特徴.漢字の読み方は1つの漢字について基本的に1通りの読み方しか存在しない.また,日本語の訓読にあたる読み方は存在しない.
外来語はアルファベットなどで表記されることもあるが,日本で外来語がカタカナで表記されるように,ハングルで転写されて表記されるのが一般的である.外来語については韓国では英語からの,北朝鮮ではロシア語からのものが多く,違いを見せている.外来語の表記については一応規範があるが,少なくとも韓国では実際に守られていないのが実情である.

 

 音韻に関することなど

 

 

  子音と母音

朝鮮語の子音は19母,母音は8つで日本語より多い.子音は破裂音,破擦音が無気([g],[d][b][j])と有気([k][t][p][c])と喉頭化([k][t][p][c])の3系列の体系をなし,摩擦音にも喉頭化した音との音韻的対立([s],[s])がある.無気音は語頭では無声音,有声音間では有声音であらわれる.流音は母音間で[r],音節末で[l]となる.その他に声門摩擦音[h]と鼻音([n],[m],[ŋ])がある.母音は前舌母音([i],[e],[ε])と後舌母音([u],[o],[],[a])と中舌母音([])がある.

  音節構造

音節構造は開音節,閉音節ともにあり,「V,VC,CV,CVC」の4つの型がある.音節末子音は[b,d,g,m,n,ŋ,l]の7つに限られ ,破裂部のない内破音となる.また,語頭の子音を初声,母音を中声,音節末の子音を終声と呼 び,「初声+中声」,または「初声+中声+終声」で1音節をなす(「V,VC」の場合は初声の位置に子音の音価がゼロであることをあらわす字母がおかれる).語頭と語末には子音は1つしか立たないが,母音間では子音が2つ続くことができる.

  長母音とアクセント

長母音は朝鮮語にも存在するが,原則として単語の第一音節にしか立たず,母音の長短だけで意味を区別する単語も多くない.ソウルの話者にあっては,こうした長母音はほとんど崩壊しており,年配層の限られた話者以外は,長母音であるかどうかの認識が薄くなっている.アクセント については日本語における音の高低によるアクセントや,英語における 音の強弱によるアクセントは存在しない.ただし,朝鮮語に音の高低や強弱がないということではなく,それが意味の弁別に関与しないということである.また,音の高低によって意味を区別する方言もある.

 

 文法や語彙に関すること

 

  文法

文の構造は日本語と非常に類似しており,主語は必ずしも必要ではなく述語が中心となって文を構成する.用言は単独で述語となりうるが,体言は指定詞(繋辞)と結合して述語となるのが普通であるが,体言のみで文を終わらせることも可能である.語順は「主語+直接補語(目的語)+述語」という,いわゆるSOVの語順である.また修飾語は被修飾語の前に位置し,「修飾語+被修飾語」の語順をとる.冠詞,前置詞,関係代名詞は存在しない.形態面では接尾辞の接合による膠着語的構成が特徴で,形態範疇としての性・数・格・人称は存在しない.
また,朝鮮語には高度に発達した敬語の体系が存在する.目上に向かって敬意を表して言うのか,目下に向かってぞんざいに言うのかなどが, 特に用言の変化にはっきりしたシステムとして形付けられている.日本語でため口にあたる言葉は반말と言う.書きことばと話しことばにも一定の違いが認められる .
朝鮮語の敬語は絶対敬語 であり, 相対敬語である日本語とは多少異なる.誰かと話に自分の両親や祖父母が出てきた場合,その動作などをあらわすのに敬語を用いたり,取引先との会話の中でも自分の会社の上司については敬語を用いて相手と会話するなどがその例である.また尊圧法 というものもあり,自分より目上の人のことを話す際でも,自分の会話相手がかなり目上の人の場合,話の対象である目上の人については敬語を使わないということもある.指導教授に自分の先輩についての話などをする時がそれにあたる.

  語彙

朝鮮語の語彙は@固有語,A外来語,B漢字語の3つに分けることができる.漢字語も厳密に言えば,外来語であるがここでは区別して扱う.日本語と対比させて考えると,固有語はやまとことばに,漢字語は漢語に,外来語は外来語に相当する.
固有語はハングルでのみ表記が可能で,固有語の語彙は動作や感覚に密着したものが多く,こまかいニュアンスを表現し分ける.特に朝鮮語は擬声語・擬態語が非常に発達している言語で(数え方によって異なるが)その数は数千語に及ぶとされ,分厚い擬声語・擬態語辞典まで存在する.日本語の「とろとろ/たらたら」,「くるくる/ぐるぐる」のように子音や母音の交替によって微妙なニュアンスをあらわしわける.
漢字語はハングル,漢字の両方で表記が可能であるが,現在漢字語が漢字で表記されるのは学術的な分野などの限られた部分でのみである.新聞などもほぼ全てハングルで表記され,意味の混同が起こりやすい部分については漢字が併記されることもある.漢字語には中国の古典に由来する文化的教養語の他に,独自に作られたもの,近代以後に日本から輸入されたものがある.近代的学問や技術における術語を含めて,理知的・抽象的な概念語彙が多いのが特徴.漢字の読み方は1つの漢字について基本的に1通りの読み方しか存在しない.また,日本語の訓読にあたる読み方は存在しない.
外来語はアルファベットなどで表記されることもあるが,日本で外来語がカタカナで表記されるように,ハングルで転写されて表記されるのが一般的である.外来語については韓国では英語からの,北朝鮮ではロシア語からのものが多く,違いを見せている.外来語の表記については一応規範があるが,少なくとも韓国では実際に守られていないのが実情である.

 

 その他のこと

 

 

  文章の書き方

縦書きと横書きの両方が可能であるが,韓国においては,横書きが主流である.北朝鮮では,1955年以来,全ての出版物に横書きが用いられている.また,韓国・北朝鮮ともに,分かち書き(単語と単語の間を離して書く)をし,文末には「.」や「?」「!」などの符号を用いている.「,」も用いられるが,日本語ほどは多用されない.分かち書きの単位は,日本語でいう「文節」に近く,助詞や語尾は語幹とつけて書く.ハングル創製直後は縦書きで分かち書きもされておらず,句読点もごく一部の文献を除いて用いられていなかった.韓国と北朝鮮では分かち書きの単位が異なり,簡単に言えば北朝鮮の正書法では韓国の正書法よりも分かち書きをしないで,単語をつけて書く傾向がある.また,一部の学者の間でプロスギ(풀어쓰기)というのが試みられたこともあるが,現在ではまったく用いられていない.풀어쓰기とは子音と母音の各字母を音節単位にまとめて書くのではなくそれぞれを分解して,一列に書く方式を言う.例えば「안녕하세요?」であれば,「ㅇㅏㄴㄴㅕㅇㅎㅏㅅㅔㅇㅛ?」のように書く方式である.

  方言と共通語

方言区画<<執筆中>>

 

  日本での朝鮮語教育と研究

<<執筆中>>

 


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[最終更新日時:2011/09/18 21:31:32]