15世紀のハングル文献 解題

 


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≪訓民正音≫[훈민정음] 1446年(世宗28)

【解例本】
この本は解例があることから「解例本」とよばれる.1940年安東郡臥龍面周下洞で発見され,現在は澗松文庫所蔵(故全鎣弼氏旧蔵).発見当時初めの2張が落張であったが,≪世宗實 録≫の記事に 依拠し補写された.漢字音とその傍点の表記が≪東國正韻≫に違背している.特に母音で終わる場合,終声位置に“ㅇ”を置かず,“ㄹ”末音を“ㄷ”末音で処理した点が大きく異なる.句読点と권성を使用した点も特異である.ハングル文献資料にこの2種を使用したのは世宗当代の文献に限られる.

内容

※執筆に参加した集賢殿の学者:鄭趾,申叔舟,成三問,崔恒,朴彭年,姜希顔,塏, 李善老

【諺解本】
≪月印釋譜≫の巻頭に載り伝わる.原刊本の例義を翻訳したもの.歯頭音字(ᅎᅔᅏᄼᄽ)と正歯音字(ᅐᅕᅑᄾᄿ)の規定が追加され,制字解で中国語の歯音を記録する時に使用するという規定が足された.内題である「世宗御製訓民正音」がある,張1に若干の変更あり.

  原刊本

【異   本】
  解例本

※1≪世宗王朝實録≫:1473年/成宗4.活字本(乙亥字).元来の 名称は≪世宗莊憲大王實録≫.163巻154冊.
※2≪排字禮部韻略≫: 1679年(肅宗5)朴東傅が彫板.
※3≪列聖御製≫:太祖から哲宗まで歴代王の詩文集.一度に作られたのではなく数代にわたり完成された.104巻59冊.

  諺解本

【影   印】

  その他多数


≪龍飛御天歌≫[용비어천가] 1447年(世宗29)

ハングル創製後の最初の文献.全10巻5冊.韻文資料.朝鮮王朝の建国を詠んだ歌と,その注釈を載せた本.太祖の4代祖である穆祖から太宗まで化家為国の業績を詠んだ125章のハングル歌詞とその 訳詩を本文とし,各章ごとに注解を加え作ったもの.現在初刊本は巻1,2の1冊のみ伝わる.ハングル歌詞はもちろん,漢文の注解にあらわれる固有名詞及び官職名のハングル表記は語彙資料として活用されうる.ハングル歌詞は分綴を部分的に導入し,“ㅊ,ㅌ”などの終 声が使われた点が特徴.句読点も使用されている.

【原刊本】

【編   次】

【重刊本】

その他,≪樂學軌範≫に≪龍飛御天歌≫のハングル歌詞が巻5の6面から7面に収録されている.第1章“海東章”から第16章“逃亡章”までと,第125章“千世章”の17章の歌詞があるが,傍点はなく,表記にもかなりの差異が認められる.詳しくは≪樂學軌範≫の項を 参照.

【影   印】
1612年版を底本として1937〜38年(奎章閣叢書4,5,京城帝国大学法文学部)と1972年(亜細亜文化社)に影印で刊行.≪龍飛御天歌≫のハングル歌詞と漢詩は≪世宗 實録≫の「악보」(巻137〜47)中の刊140〜45にも載っているが, 写本のため誤字が多い.


≪釋譜詳節≫[석보상절] 1447年(世宗29)

世宗の命により首陽大君(後の世祖)が昭憲王后の冥福を祈るため著作した釈迦の一代記.首陽大君の序文によれば,まず釈迦譜を作り,それを諺解したものというが,他の諺解書とは異なり原文がなく,また文 体も諺解文とは異なる. ハングルで表記された最初の散文資料.甲寅字の漢字と共に使われたハングル活字が書誌学究にも貴重な資料となる.
“釋”は“釈迦牟尼”の略稱で,“譜”は“一代の行蹟記”(家系の記録),“詳節”は“仔詳節録”という意味である.よって,≪釋譜詳節≫とは“釈迦牟尼の家系と一代記を重要なことは詳しく,そうでないものは減らして記録したもの”という意味.

【原刊本】  零本.24巻中6巻が現存.活字本(甲寅字,銅鑄字).

【重刊本】

【底   本】(●は千柄植(1985)照.○は李丙疇(1972)による[金英培(1972)所 収])

※釋迦譜の張次については金英培(2000:31-32)に言及あり.

【影   印】

※巻6, 9, 13, 19の影印から原典の校正が削除されているので,影印本の利用には注意が必要. また,影印本1961年のハングル学会のものをはじめとして頁表示が間違っているものがあるので引用時には注意が必要.


≪月印千江之曲≫[월인천강지곡] 1447年(世宗29)

首陽大君が作った≪釋譜詳節≫を見て,世宗が自ら釈迦の功コを称誦して作った本.580余曲からなる.全3巻(上,中,下).≪龍飛御天歌≫の次に古いハングル表記の韻文資料.漢字をハングルの下に夾註で表記したのが 他の文献には見られない特徴.
現在巻上が陳
洪氏所蔵で傳わり,巻中と巻下の落張が国立中央図書館所蔵の≪釋譜詳節≫(巻6,9)に挿入され伝わる.この本が単独で重刊されたことはないが,≪月印釋譜≫に編入され刊行されたことがある.原刊本と 対照すると,この時≪釋譜詳節≫よりは甚だしくないが,歌詞の修正と,注釈の添加が行われている.
≪龍飛御天歌≫と同じく分綴表記が見られ,終声に“ㅊ,ㅌ,ㅍ”を使用している.

【影   印】

など多数


≪東國正韻≫[동국정운] 1448年(世宗30)

世宗の命令で申叔舟,成三問,崔恒等が編纂した韻書.全ての収録字を韻により分類し,その中で平上去入の順序で羅列する方式で編纂されている.申叔舟の序文によれば編纂は1447年(世宗29).
この本で規定した漢字音はハングル創製以後全ての文献で漢字音表記に適用されたが,伝承音と相当離れていたため15世紀末からは使用されなくなる.

【原刊本】

【影   印】


≪舍利靈應記≫[사리영응기] 1449年(世宗31)

世宗が内仏堂と佛像を造成してすぐに,希求していた舍利の出現祥瑞があることを記録した本.語彙資料としての価値を持つ.活字本(甲寅字).金 守温の記録.本の最後にこの仕事に参与した信眉をはじめとする多くの人の名前が“精勤入場人名”として書かれたが,その中に“韓실구디”,“朴검동”等ハングルで表記された人名が約50あらわれる.

【原刊本】

※この本に関する書誌的事項は次を参照

安秉禧(1977),초기 한글 표기의 고유어 인명에 대하여,≪언어학≫2, ソウル:언어학회.


≪洪武正韻譯訓≫[홍무정운역훈] 1455年(端宗3)

明の韻書である≪洪武正韻≫(1375年/洪武8)にハングルで表音した本.申叔舟等が10余年にわたり編纂.≪洪武正韻≫の 体裁はそのままに,その反切を分類,整理して31声母の字母を各小韻の代表字の前に表示し,また其の字母と代表字の間にその小韻の字音をハングルで表示し,時には代表字の下の反切の次にその俗音(当時の中 国北方音)を表示した.

【原刊本】 16巻8冊.活字本(ハングルは木活字,漢字は?).

【影   印】


≪月印釋譜≫[월인석보] 1459年(世 祖5)

世祖が≪月印千江之曲≫と≪釋譜詳節≫を合編して,1459年(世宗5)に刊行した.合編の方法は≪龍飛御天歌≫に 従い,≪月印千江之曲≫を本文にし,≪釋譜詳節≫を注釈にしたもの.合編においては,調巻と文章に相当な改変を加えた.調巻を見ると,≪釋譜詳節≫巻11と巻19の内容が各々≪月印釋譜≫巻21と 巻18にあらわれ,同じ巻13が≪釋譜詳節≫は≪法華經≫巻1,≪月印釋譜≫は巻2と3の 内容を見せる等々,巻11から巻次が変わっている.文章は,月印千江之曲は漢字と読音の位置,漢字音終声ㆁ,夾註追加など部分的改変と,曲次の変動があるが,≪釋譜詳節≫は大幅的な添削があった.そのため,≪月印釋譜≫はまったく新しい資料になる.
完本は24巻と考えられているが,現在零本としてのみ伝わる.現在まで知られている原刊本と所蔵者は以下の通り.

【原刊本】

この本は完本が覆刻されたことはないものと思われる.部分的に地方寺刹で16世紀に覆刻された.現在伝わる重刊本を刊年順に 挙げると以下の通り.

三省出版社 金宗圭氏所蔵本(巻22)の書誌事項

金宗圭氏所蔵本(巻22)に所載の≪月印千江之曲≫其四百四十五から其四百九十四の50章と,底経である≪大方便佛報恩經≫の“悪品友”全文を金英培(2000:50-68)で見ることができる.

≪月印釋譜≫は≪釋譜詳節≫と共に,正音創製直後の散文資料として貴重である.重刊本でさえも,見るにまれだという理由からだけでなく, 国語史資料として持つ価値のため,より重要な文献である.

【影   印】
  原刊本

  重刊本


≪楞嚴經諺解≫[능엄경언해] 1461年(世祖7/活字本),1462年(世祖8/木版本)

≪大佛頂如密因修證了義諸普薩萬行首楞嚴經≫(略稱≪楞嚴經≫≪大佛頂首楞嚴經≫)を世祖がハングルで口訣をふり,韓継禧・ 金守温等が慧覚尊者信眉の助けを受けながら翻訳した本.世祖・金守温・信眉等の跋によれば元来1449年(世宗31)世宗の命で世祖が翻訳に着手したが,最終的に1461年(世祖7)10月校書館で活字(乙亥字)で400部を刊行した.

【原刊本】

この活字本は急いで刊行したため誤謬が非常に多い.そのため,翌1462年誤謬を修正し,刊経都監※1で木版本を刊行した.ここには桂陽君の箋(1462年8月21日)と雕造官[雕=조]である 刊経都監都提調※2以下の 列銜がある.こうして,この 木版本が≪楞嚴經諺解≫の定本になった.この時活字本は大部分を回収し朱墨で校正したり,印刷した紙(主に巻末の“音釈”部分)を校正することによって,木版本との統一を図ったものと思われる.現前の活字本はほとんどそのような修正がある. 現在活字本は巻4のみ伝わっていない.

※1 刊経都監は朝鮮時代仏教の経典を翻訳して刊行した機関.1461年(世祖7)から1471年(成宗2)まで.
※2 都提調 朝鮮時代6゙の属衙門[속아문]・군영等重要機関に設置した咨文名誉職.

木版本は埋木,または補印による 仏教用語の漢字読音表記の修正があり差異があるが※3,1462年版の印出本が多く伝わっている.ソウル大学校と東国大学校の図書館にある全帙が代表的.特に 東国大本は題簽まで印出当時のものと考えられる.16世紀の覆刻本もある.
木版本の≪楞嚴經諺解≫は刊経都監で刊行された最初の仏教諺解であるため,その本の形
態,翻訳樣式,正書法などは,後に刊行された刊経都監の仏教諺解書の規範となった.

※3 このような補印については安秉禧(1974),석보상절의 교정에 대하여,≪國語学≫2,ソウル:国語学会.(安秉禧1992に収録)参照.

【影   印】

活字本

  木版本


≪阿彌陀經諺解≫[아미타경언해] 1461年(世祖7)

≪阿彌陀經≫は≪佛説阿彌陀經≫の略稱.淨土三部 経のひとつ.一切諸仏所護念経(護念経,彌陀経)とも言う.これに口訣をふり,翻訳したのが≪阿彌陀經諺解≫である.この本の諺解文は≪月印釋譜≫巻7にあらわれる釋譜詳節部分とほぼ一致する.まず1461年(世祖7)に校書館で活字本が刊行された.その後,1464年(世祖10)に刊経都監で木版本が刊行 された.

【原刊本】

【重刊本】

それ以外に壬辰倭乱後の重刊本数種が伝わる.その中の1つを底本として影印が出版される.
その他の重刊本*

【影   印】

≪阿彌陀經諺解≫に関するより詳しい解題はこちらのページを参照のこと.


 

≪法華經諺解≫[법화경언해] 1463年(世祖9)

温陵戒環が要解し,一如が集註した≪妙法蓮華經≫に世祖が口訣をふり, 刊経都監で翻訳をつけ刊行した本.全7巻.巻首に刊経都監都提調尹師路の箋(1463年9月2日)と都提調以下の雕造官の列銜がある.本の体裁と翻訳樣式等は全面的に 木版本≪楞嚴經諺解≫と一致する.
現在多くの本が伝わるが,原刊本と見られる本は非常に稀で,大部分が覆刻本.

【 原刊本】

※1 刊経都監刊行の諺解書の訳者と口訣作成者の記名を削除したのは1472年(成宗3)“金 守温跋”,1495年“学祖跋”を持ち印出された≪圓覺經≫≪蒙山和尚法語略錄≫(以上金 守温跋),≪禪宗永嘉集≫≪金剛經≫≪般若心經≫に全て共通する.≪禪宗永嘉集≫≪金剛經≫≪般若心經≫等では刊経都監当時の跋文まで削除されている.このような 事実は刊経都監が廃止された状況と関連したものと考えられる.仏教諺解の印出年代推定において記名行の空白は有力な基準になる.(安秉禧(1992:509)註14より)
 

【 重刊本】
覆刻本は版心題を略字で表示する等,粗雑な部分はあるが,翻訳は原刊本通りになっているため,原刊本と同一の資料と見ても無妨である.
有刊記の覆刻本:1523年(中宗18),1545年(仁宗1),1574年(明宗2)

重刊本(体裁と内容が異なるもの)

※2 安秉禧(1971), 개간 법화경언해에 대하여, ≪東方學誌≫12. (安秉禧(1992)に所収)参照.

【 影   印】


≪禪宗永嘉集諺解≫[선종영가집언해] 1464年(世祖10)

唐の永嘉玄覚の≪禪宗永嘉集≫に宋の行靖が註をつけ,淨源が科門を修正したものを諺解した本.2巻1冊.世祖がハングルで口訣をふり,慧覚尊者信眉等が翻訳し,刊経都監で刊行.巻頭に刊経都監都提調 黄守身の箋(1464年1月5日)と, 黄守身以下関与者の列銜があり,巻末に信眉と孝寧大君の跋がある.

【 原刊本】

【 後刷本】

【 重刊本】

【 影   印】


≪金剛經諺解≫[금강경언해] 1464年(世祖10)

≪金剛般若波羅蜜經≫または≪金剛經祖解諺解≫の略稱.≪金剛經≫の經部分と六祖 恵能の口訣にハングルで口訣をふり翻訳した.口訣は世祖,翻訳は韓繼禧,校正は孝寧大君・海超等が担当し,刊経都監で刊行した.刊経都監都提調守身の“進金剛心經箋”(1464年4月7日)と孝寧大君・海超・金 守温等の跋文と“飜譯廣轉事實”(金剛經事實)に刊行經緯がある.箋の後に黄守身等刊行関与者が列記されている.

【 原刊本】 上・下2巻

【 重刊本】

※補板があるため利用に注意が必要 ≪金剛經諺解≫≪圓覺經諺解≫等,冊版の発見経緯と補板印出については以下を参照.
한용운(1931),국보적 한글 經板의 발견 경로,≪불교≫89.
한용운(1933),한글經 印出을 마치고,≪불교≫103

【 影   印】


≪般若心經諺解[반심경언해]≫ 1464年(世祖10)

≪般若波羅蜜多心經略疏顯正記諺解≫の略称.≪心經諺解≫とも.唐の法蔵の≪般若心經略疏≫に対する宋の仲希の註解本にハングルで口訣をふり翻訳した単巻の本.≪金剛經諺解≫と同時に刊経都監で刊行された本で,刊経都監都提調 黄守身の“進金剛心經箋”と刊行関与者も同一.口訣は世祖,翻訳は韓繼禧等.≪金剛經≫とは異なり韓繼禧の跋文がある.

【 原刊本】

 【 重刊本】

【 影   印】


圓覺經諺解≫[원각경언해] 1465年(世祖11)

唐の佛陀多羅の翻訳である≪大方廣修多羅了義≫にたいし,やはり唐の宗密が≪覺經大疏鈔≫をつくり,それを底本に世祖が口訣をふり,信眉・孝寧大君・韓繼禧などが翻訳し,1465年(世祖11)に刊経都監で刊行したもの.10巻10冊の木版本.巻頭に刊経都監都提調である黄守身の箋(1465年3月19日)と黄守身・朴元亨・金守温などの雕造官が列記されている.巻頭の内題の次に「御定口訣/慧覺尊者臣僧信眉孝寧大君臣補仁順府尹臣韓繼禧等譯」という記録がある.内容は釈迦如来と12菩薩( 文殊,普賢,普眼,金剛蔵,勒,清浄,威徳自在,辯音,浄諸業障,普,賢善首)との問答を通して大の妙理とその観行を説いたものである.

【 原刊本】

【原刊本の覆刻本】

【重刊本】 1575年(宣祖8)全羅道安心寺刊行

【書誌事項】ソウル大奎章閣本(重刊本の覆刻)による

【 影   印】


≪牧牛子修心訣諺解≫[목우자수심결언해] 1467年(世祖13)

牧牛子修心訣≫とも.高麗の僧,普照国師智訥(号:牧牛子,1158-1210)の≪修心訣≫を信眉が翻訳し,1467年(世祖13)に刊経都監から刊行した46張1冊の木版本である.禅の理論書.巻末に「成化三年丁歳朝鮮國刊經都監奉教雕造」という刊記と,版下本の筆写者である安・柳耕の名前がある.

【 原刊本】

【 原刊本の覆刻本】 鳳栖寺本,1500年(燕山君6)刊,≪四法語≫合綴,1冊54張.

【書誌事項】 ソウル大奎章閣一蓑文庫所蔵本

【 影   印】


≪蒙山和尚法語略諺解≫[몽산화상법어약록언해] 1467年(世祖13)

≪作成中≫


≪樂学軌範[악학궤범]≫ 1493年(成宗10年)

成俔,柳子光,申末平,朴[昆],金福根が正調 楽舞の保存のため編纂した楽書.9巻3冊(各3巻1冊).成俔(1439-1504)の序文がある.編纂は1493年(成宗10年)8月に完了したが,刊行及び印出に 関する記録は殘っていない.成宗以後にも数度にわたり重刊或いは覆刻された.内容は雅楽,唐楽,ク楽の3門に分け,作律と用律,そして楽器などを説明したもの.高麗歌謠(“動動”,“井邑詞”,“處容歌”,“三眞(鄭瓜亭[정과정])”)のハングル歌詞(巻5)とハングル表記の音用語※1(巻2,4,7,8,9)がある.また,≪龍飛御天歌≫のハングル歌詞が 巻5の6面から7面に収録されている.第1章“海東章”から第16章“逃亡章”までと,第125章“千世章”の17章の歌詞がある.傍点はなく,表記にもかなりの差異が認められる.ㅸや各字 並書も用いられていない※2.楽譜や楽書類に書かれたハングル歌詞は実際に歌唱されていた当代の歌の歌詞がそのまま採録されたものと考えられる.

※1 語彙資料としての音用語については李賢熙(2001:89-93)参照.
※2 詳細は李賢熙(2001:94,95)を参照.

【原刊本】(の可能性があるもの)

【重刊本(光海(君)本)】

1610年(光海君2年):ソウル大学校奎章閣所蔵.全.太白山史庫に内賜されたもの.巻9末尾に李廷龜の跋文あり,“萬三十八年庚戌仲秋日”の刊記あり.若干の修正が加えられている.李廷龜の跋文は 楽書庁提調, 監造官及び監校の列銜が書かれた面が同じ張次がふられているのにもかかわらず,この部分のみ前の部分と異なり四周単辺になっている.これは孝宗本,英祖本も同様.
1611年(光海君3年):ソウル大学校奎章閣所蔵.五台山史庫に内賜された本.全帙.その他同上.
その他零本で巻7,8,9の1冊がソウル大学校奎章閣に所蔵されている.

光海君時代のその他の重刊本

【重刊本(孝宗本)】

1655年(孝宗6年):光海本を底本とした覆刻本.≪樂章謄 録≫の記錄によると8部のみ作られる※3.8部中4部が奎章閣所 蔵.版式は光海本と同樣.

※3 ≪孝宗實録≫巻14,6年3月癸未條と≪樂章謄 録≫乙未(孝宗6年)3月11日條に 関連記事があり,刊行の始末を知ることができる.

【重刊本(英祖本)】

1743年(英祖19年)
木版本.半葉匡郭:縦39.0cm×横25cm.光海本を底本とした覆刻本でありながら,英祖の“御製樂學軌範小序”と“御製荷皇恩三章”及び“荷皇恩簇子圖”を巻1巻頭に新しく追加し,成俔の序文を李廷龜の跋文の跋文の直前に移動させる.一種の補刻本とも言える.“御製樂學軌範小序”部分は四周双辺,7行16字,大黒口,上下内向四葉花紋魚尾,“御製荷皇恩三章”と“荷皇恩簇子圖”部分は上下内向四葉花紋魚尾になっている以外は本文と 同様.“御製樂 學軌範小序”と“御製荷皇恩三章”は張次も別途ふられているが,“荷皇恩簇子圖”には張次表示がない(詳細は李賢熙(2001:76-78)を参照).

【筆写本】
筆写本である≪俗樂歌詞※4≫(ソウル大学校奎章閣가람文庫所蔵,2種あり)の付録としてつけられている.光海本やその後の版本の≪樂學軌範≫巻5から高麗歌謠と数編の 楽章のみを縮約して記録したもの.誤字が多い.ㅿ,ㆁの使用はない.

※4 ≪樂章歌詞≫ないし≪國朝歌詞≫と言われる文献とその内容が等しい.詳細は李賢熙(2001:78)註22を参照.

【影   印】

原刊本

重刊本


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[最終更新日時:2011/09/18 21:32:28]