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近代朝鮮語に関連することをまとめたメモです.
以下ハングルの古語が多くあらわれるため,ご覧になるにはNew Gulimフォントが必要です.

  近代朝鮮語の特徴

ここでは近代朝鮮語の文法の特徴についてまとめる.以下は洪允杓(1994)より.

  音韻の特徴
  1. /β/,/z/が消滅したことによって,子音体系において有声摩擦音系列が消滅した(17世紀).

  2. 子音体系に濃音系列が地位を得るようになった(17世紀).

  3. 声調体系がなくなった(17世紀).

  4. 」は語頭音節でのみ音韻の機能を持っていたが(17世紀),語頭音節の「」も主に/a/へ変化し非音韻化した(18世紀).

  5. 二重母音であった[ay],[∂y]が単母音化して/ε/,/e/となり,7母音体系が8母音体系になった.この時期は17世紀と18世紀の交替期である.[この時期は南克寛の『夢囈集』で提示された証言によるもの]

  6. 歯擦音の下で[]が[i]になる前部高母音化(または口蓋母音化)現象が起こった(19世紀).

  7. 円唇母音化が起こった.

  8. i ウムラウト現象が起こった.これは特に方言から起こった.

  9. t口蓋音化が起こった.方言ではk口蓋音化,h口蓋音化も起こった.ある方言では16世紀に,そしてある方言では18世紀に起こった.

  10. 有声的環境でが脱落する現象が起こった.従って,終声体言の末音が脱落し,終声体言が消滅するようになった.

  11. i 母音やの下でが脱落する現象がなくなった.従って,語尾の中でもこのような環境による異形態が消滅した.要するに「-고-오」の交替がなくなり,「-고」のみが残ることとなった.これは類推による結果である.

  12. 19世紀末頃に語幹末音のの前で脱落する現象がなくなった.例えば「아다(知)」は「알다」になった.これは類推による結果であると思われる.

  文法の特徴
  1. 中期朝鮮語の接尾辞および添辞の複雑な体系が簡素化した.

  2. いわゆる意図法の「-/-」がなくなった.

  3. 中期朝鮮語において敬語法が尊敬法,謙譲法,恭遜法体系だったものが,尊敬法,恭遜法の体系に変わった.

  4. 中期朝鮮語で尊称体言に統合していた「-ㅅ」が属格助詞としての機能を失い,単なる複合語表示としてのみの機能をするようになった.

  5. 17世紀から名詞化素「-기」が名詞化素「-」にかわって一般化し始めた.

  6. 中期朝鮮語に見られた動詞語幹の遊離的正確がなくなった.(例:s 디니 s디더니

  7. 主格助詞「-가」,比較表示の「-보다(가)」などが登場するなど新しい文法形態素があらわれた.

  8. 尊称の呼格助詞「-하」,比較表示の「-두고」など既存の文法形態素が消滅した.

  9. いわゆる二重主語文のうち,2番目の名詞句が交互的資質を帯びた用言語彙と統合する時には,2番目の主語構文の助詞は共同格助詞に変化した.

  10. 中期朝鮮語で複文ないし重文の構造として使われていた文章が,単文に変化したものが多い.これは「-브터-조차-더브러」などの後置詞が格助詞と統合し文法 化が完成した結果である.

  語彙の特徴
  1. いくつかの音韻変化(口蓋音化,i ウムラウト,円唇母音化など)や類推現象によって体言語幹や用言語幹の再構造化が大々的に起こった.

  2. 実学時代に外国,特に中国との接触によって新しい単語が登場するようになった.

  3. 漢字語が多く登場した.特に中国の俗語が多く流入した(例:十分など).

  4. 19世紀末葉には日本語の影響で日本の漢字語が輸入された.これは現代朝鮮語の語彙構造に大きな影響を与えた.

 

  文法に関すること

 

  <<-아/어다>>

中期朝鮮語では心理動詞とこれから派生した心理形容詞が並存する時,原則的に心理動詞のみが-아/어 다形を持つ.

  • 心理動詞:\다,두리다,즐기다 → 깃거 다,두려 다,즐겨

  • 心理形容詞:깃브다,두립다,즐겁다 → *깃버 다,*두리워 다,*즐거워

ただし,中期朝鮮語では「다(動詞)」, 「引ォ다(形容詞)」の場合,「다,다」の両方が存在する.16世紀後半から心理形容詞の-아/어 다形があらわれ始めた.例えば,「믜다(動詞)」, 「믭다(形容詞)」の場合,「믜여 다,믜워 다」が 並存するようになり,近代朝鮮語に入ると形容詞の-아/어 다形が普遍化し,動詞の-아/어 다形に替わって使われることになった. 現代朝鮮語では形容詞の-아/어다形が使われている.

  -ㄴ대と-ㄴ

中期朝鮮語で「-ㄴ대」は先行節に対する「反応」を後行節に提示する時に主に使われた.-ㄴは先行節の内容の「転換」をあらわす時,主に使われた.この語尾は現代朝鮮語では「-ㄴ데」に統一される.

 

  語彙に関すること

 

  名 詞
  • 소옴>소음>솜 [綿]

  動 詞
  • ロ[ㅸ>w]외다[円唇性同化]>도외다[同母音脱落]>도이다[音節縮約]>되다

  副 詞
  • >>>혼자

 

  格助詞(格語尾)に関すること

 

  主格助詞-가の登場

中期朝鮮語の主格助詞には「-이,-ㅣ」の2種しか存在せず,「-가」はまだ存在しなかった.主格助詞「-가」は口語では16世紀 には存在していたことがわかっている.現在見ることのできる「-가」が使われた最初の例は,1572年(宣祖5年)に書かれたと推定されている松江鄭K慈堂竹山安氏 の書簡にあらわれた次の例である.

  • ロ_ 자니 가 세니러셔 니니

主格助詞「-가」は≪老乞大諺解≫(1670年),≪捷解新語≫(1676年),≪馬經抄集諺解≫(1686年),≪新傳煮硝方≫(1698年),≪痘瘡經驗方≫(17世紀)のような17世紀資料にもあらわれる.しかし,これらの文献では體言末音「i」や「i」の要素を持つ二重母音の後ろでのみ使われるという制限があった.

  • これらの文献にあらわれる「-가」の例は金亨奎(1962:206),田光鉉(1967:90,91),李基文(1998:218)等を参照してください.

18世紀文献の中でも≪御製常訓諺解≫(1745年),≪御製訓書諺解≫(1756年),≪敬信録諺釋≫(1796年)には「-가」はあらわれておらず,≪女四書諺解≫(1736年)と≪五倫行實圖≫(1796年)では1例 ずつあらわれたのみである.しかし,≪綸音諺解≫(18世紀末)では「-가」は非常に生産的に使われている.

  尊称の主格助詞の登場

尊称をあらわす主格助詞は18世紀に入って登場した.わたしが調査した≪隣語大方≫には「-계셔,-꼐셔,-계오셔」という形態 があらわれる.홍윤표(1994:625-639)によると「-계오셔」が最も高い尊称を表示するとしている.「-계셔(꼐셔)」は「-계오셔」に比べ等級 が一段階下のものと見ている.詳細は홍윤표(1994:625-639)参照.

  対格助詞

中期朝鮮語では対格助詞として「-H----」が使用されていたが,18世紀の資料では対格助詞 は「-H」,「-을」に統一されていく傾向を持つ.

  処格助詞

中期朝鮮語では処格助詞として「-,-,--」の5種があった.近代朝鮮語の時期にこれらの助詞は「-」へ統一する傾向を見せ始め,現代朝鮮語に至ると「-」に統一される.18世紀の文献ではこの傾向がはっきりと見られる.

  -

現代朝鮮語の「-까지」に対応する助詞は,中期朝鮮語では-(-ㅅo)/-o」という形を持っていた. 近代朝鮮語ではその中間段階にあたる「-지」という形が用いられた.この「-지」という助詞は,17世紀には数例に過ぎないものであったが,18世紀に入り頻繁に使用されるようになる.≪隣語大方≫では例外なく「-지」という形が使われている.

  -에서と-에

-에서(-에셔)が使われると考えられる位置に-에(-의--애)が用いられることがある.리다,나다のように出発点のみを要求する(到着点表示の必要がない)動詞にあらわれる.

  • 도적이 나귀예 [種コ下:51a]

  • D도 겨 P나디 아니타 [東新 孝1:34b]


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[最終更新日時:2011/09/18 21:38:12]